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自然への介入はどこまで許されるか―事例で学ぶ 環境倫理〈いのちと環境ライブラリー〉 C・グドーフ&J・ ハッチンソン著 千代美樹訳 定価(本体2190円+税)

生態系と生活、どちらを優先すべきか?

 人類はこれまで数千年間、生活のために、欲望のために、自然環境を利用し、搾取してきました。しかし、そうした行為は、20世紀後半以降、世界各地で発生している公害、資源の枯渇、多くの生物種の絶滅、そして地球温暖化といった諸問題によって、過去のものになろうとしています。考えなしに「自然への介入」を続けることは、もはや不可能であるばかりか、犯罪的行為と見なされるようになっています。

 では、自然環境に対して、わたしたちは何をすべきで何をすべきでないのか? 自然保護は絶対的正義のように見えますが、自然保護によって利益を奪われる人もいるため、やみくもな自然保護は不可能です。生態系と人間社会との間の境界線は、自明なようでいて常に揺らいでいるのです。

 本書は、世界各地で起こっている環境問題から12の典型的な事例(目次参照)をピックアップし、当事者の立場で具体的に考え、議論することを通して、自然環境に対する意識と態度、すなわち「環境倫理」を培おうとするものです。正解はありません。それは私たち一人ひとりが、これから創り上げていくのです。


【目次】

はじめに

第1章 環境倫理学の理論
人間中心主義の倫理学/人間中心主義の倫理学を拡大する試み/生命中心主義を拡大する試み/生態系中心主義/ラディカルな生態系中心主義――ディープエコロジー/ソーシャルエコロジー/エコフェミニズム/実用主義的な環境倫理学/環境倫理の当事者/宗教とエコロジー/価値・価値観・価値の評価

第一部 生態系の維持と管理
  第2章 怒濤に架ける橋――エヴァグレーズの追いつめられたコミュニティ
  第3章 健全な生態系か、人間の利益か?――POP廃絶条約
  第4章 盗まれた心――危機に瀕した生態系と危機に瀕した文化
  第5章 ジャワの森は消滅する運命にあるのか?――自然保護と人口圧力
  第6章 生き埋め――未来の世代と放射性廃棄物の永久処分

第二部 生態系の再生と再創造
  第7章 生態系の応急処置?――傷ついたサンゴ礁の再生
  第8章 流れる川、堰き止められる川――自然の流れか水力発電か
  第9章 自然も砂漠をつくる――中国の砂漠化対策
  第10章 再野生化――損なわれた生態系の回復

第三部 生態系への人為的介入
  第11章 生物多様性の促進?――遺伝子組み換え食品
  第12章 狩猟は環境を守る?――自然のなかの人間
  第13章 人間と動物の交配か、畜産技術の進化か――異種移殖

付 録 教室で環境事例を活用するために



【著者紹介】 クリスティン・E・グドーフ Christine E. Gudorf
フロリダ国際大学宗教学部教授。著書にBody, Sex, and Pleasure: Reconstructing Christian Sexual Ethics, 共著にChristian Ethics: A Case Method Approach がある。

ジェイムズ・E・ハッチンソン James E. Huchingson
フロリダ国際大学宗教学部教授。著書にPandemonium Tremendum: Chaos and Mystery in the Life of God, 編著に Religion and the Natural Sciences: The Range of Engagement がある。

【訳者紹介】 千代美樹(せんだい・みき)
青山学院大学理工学部経営工学科卒業。コンピューターメーカー勤務を経て、現在は翻訳業。訳書に『胎児は知っている母親のこころ』(日本教文社)、『デトックスマニュアル』(バベル・プレス)、翻訳協力書に『世界の怪物・神獣事典』『シンボル・コードの秘密』『ケンブリッジ世界宗教百科』(いずれも原書房)などがある。


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